円の金利スワップは通常6か月の変動金利と6カ月の固定金利を交換しますが、米ドルで金利スワップと言ったら、3カ月の変動金利と6カ月の固定金利の交換を通常指します。

キャッシュフローダイアグラムに書き表してみるとこんな感じ

図1.円金利スワップのキャッシュフロー・ダイアグラム

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図2.米ドル金利スワップのキャッシュフロー・ダイアグラム

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このほかにも、金利日数計算方法や、休日調整方法なども標準的な方法が通貨毎にそれぞれ異なります。こういった金融の商品の標準的な契約形態を”コンベンション”と呼びます。円、米ドル、ユーロの金利スワップのコンベンションはこちらです。

項目 通貨 JPY USD              EUR
1年以下 1年超
固定金利
計算
利払い頻度 6カ月 6カ月            12カ月
日数計算 Act/365(FIXED) 30/360            30/360
変動金利
計算
利払い頻度 6カ月 3カ月 6カ月 3カ月
日数計算 Act/360 Act/360           Act/360
休日調整 支払日休日 London, Tokyo London, Newyork             Target
休日調整 Modified Following Modified Following Modified Following
         金利計算開始日 2営業日 2営業日           2営業日
変動金利
リセット
ディレイ 2営業日 2営業日           2営業日
決定休日 London London             Target

 

様々なコンベンションがあります。今回は日本円を例にコンベンションの使い方を説明します。

 

金利スワップの具体的な契約内容(コンベンションを使った契約内容の翻訳)

例えば2018年5月21日に「円固定金利スワップ 4年 0.05% 固定金利受け/変動金利払い 100億円」を契約した場合を例にどの様にコンベンションが使われるか説明をしていきます。

まず、取引約定日は5月21日になります。

取引約定日:2018年5月21日(月)

取引開始日(金利計算開始日)は、2営業日後なので23日です。

取引開始日:2018年5月23日(水)

4年間の取引のため、取引満期日は、4年間後です。

取引満期日:2022年5月23日(月)

日本円の場合、利払い頻度が6カ月毎のため、毎年5月、11月の23日が利払い日(休日調整前)になります。

利払い日(休日調整前):
2018年11月23日(金)
2019年5月23日(木)
2019年11月23日(土)
2020年5月23日(土)
2020年11月23日(月)
2021年5月23日(日)
2021年11月23日(火)
2022年5月23日(月)

利払い日が祝・休日の場合は金利の利払いができません。円金利スワップの場合、東京(とロンドン)の祝・休日場合は利払い日をずらします。これを休日調整と言います。

休日調整方法は円金利スワップはModified Followingと呼ばれる方法が使われます。Followingとは、支払日が休日の場合は翌営業日、翌営業日が休日の場合はさらに翌々営業日が、翌々営業日が休日の場合はその・・・と、支払日を後ずれさせて支払う調整方法を指します。”Modified” Followingの場合、支払日を調整していった場合に月を跨いでしまう場合は、前営業日へ支払日をずらす方法になります。利払い日(休日調整前)に休日調整を行ってみましょう。

  • 2018年11月23日(金)(勤労感謝の日)→2018年11月24日(土)→2018年11月25日(日)→2018年11月26日(月)
  • 2019年5月23日(木) 調整必要なし
  • 2019年11月23日(土)→2019年11月24日(日)→2019年11月25日(月)
  • 2020年5月23日(土)→2020年5月24日(日)→2020年5月25日(月)(Spring Bank Holiday)→2020年5月26日(火)
  • 2020年11月23日(月)(勤労感謝の日)→2020年11月24日(火)
  • 2021年5月23日(日)→2021年5月24日(月)
  • 2021年11月23日(火)(勤労感謝の日)→2021年11月24日(水)
  • 2022年5月23日(月)  調整必要なし

休日調整後の支払日は、以下の通りになりました。

利払い日(休日調整後):
2018年5月23日(水)
2018年11月26日(月)
2019年5月23日(木)
2019年11月25日(月)
2020年5月26日(火)
2020年11月24日(火)
2021年5月24日(月)
2021年11月24日(水)
2022年5月23日(月)

次に日数計算です。6カ月毎に金利が計算され半年相当分の金利が交換されますが、月によって日数が異なったり、休日調整にって金利が支払われるまでの期日が若干ずれるため、換される金利は年利の半分ではありません。4年の金利スワップの場合、計8回金利交換が行われます。以下に各金利交換日と当該計算区間の日数をまとめています。

金利計算開始日 金利計算終了日 金利支払日 実日数
1回目 2018/5/23 2018/11/26 2018/11/26 187
2回目 2018/11/26 2019/5/23 2019/5/23 178
3回目 2019/5/23 2019/11/25 2019/11/25 186
4回目 2019/11/25 2020/5/26 2020/5/26 183
5回目 2020/5/26 2020/11/24 2020/11/24 182
6回目 2020/11/24 2021/5/24 2021/5/24 181
7回目 2021/5/24 2021/11/24 2021/11/24 184
8回目 2021/11/24 2022/5/23 2022/5/23 180

 

金利の日数計算方法も通貨によって異なり、日本円の場合は変動金利と固定金利で金利日数計算方法が異なります。日本円の場合は、固定金利はAct/365(FIXED)という計算方法です。これは、実日数を365で割るというものです。変動金利はAct/360という方法です。これは実日数を360で割るという方法です。したがって、適用される日数はそれぞれ以下のようになります。

 日数計算 実日数 固定金利 変動金利
1回目 187 0.512328767 0.519444444
2回目 178 0.487671233 0.494444444
3回目 186 0.509589041 0.516666667
4回目 183 0.501369863 0.508333333
5回目 182 0.498630137 0.505555556
6回目 181 0.495890411 0.502777778
7回目 184 0.504109589 0.511111111
8回目 180 0.493150685 0.5

固定金利は0.05%のため、元本が100億円のため将来の固定金利額は、以下のように元本×0.05%×日数計算で求められます。

固定金利 日数計算 固定金利額(円)
1回目 0.512328767 2,561,644
2回目 0.487671233 2,438,356
3回目 0.509589041 2,547,945
4回目 0.501369863 2,506,849
5回目 0.498630137 2,493,151
6回目 0.495890411 2,479,452
7回目 0.504109589 2,520,548
8回目 0.493150685 2,465,753

次に、変動金利決定日です。変動金利の決定日はロンドン休・祝日ベースの2営業日前です。以下の金利決定日に決まる日本円 Libor 6カ月物が変動金利に使われます。

金利計算開始日 金利決定日
1回目 2018年5月23日(水) 2018年5月21日(月)
2回目 2018年11月26日(月) 2018年11月22日(木)
3回目 2019年5月23日(木) 2019年5月21日(火)
4回目 2019年11月25日(月) 2019年11月21日(木)
5回目 2020年5月26日(火) 2020年5月21日(木)
6回目 2020年11月24日(火) 2020年11月20日(金)
7回目 2021年5月24日(月) 2021年5月20日(木)
8回目 2021年11月24日(水) 2021年11月22日(月)

これで、金利スワップの年数から

  • 支払日:いつ金利が交換されるのか
  • 日数計算:実際にいくらの金額が交換されるのか
  • 金利決定日:変動金利はいつ発表される値が用いられるのか

を求めることができました。これらの

コンベンションとは契約効率化のために行われた標準的契約の条件

金利スワップ取引は業者間では年限、サイズ、方向を伝えてあとはDone(取引します)の意思表示を行えば瞬時に取引ができます。それは、具体的な取引内容がコンベンションというルール基づいて標準化されており、特に何も言わない場合はコンベンションに従った取引を行うことが前提になっているためです。

取引日数や金利金額を一つ一つ確認して実際の取引内容を確認するのは骨が折れますが。しかし、プロ間の取引では取引内容が標準化がされているためそれを意識せずにも簡単に取引でき、毎秒値段が変わる市場環境でも容易に取引できるようになっています。

 


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